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2024.01.03

姫路:なぜ出石から姫路に機械時計を移動したのか?

執筆:永瀬(県大)
日時:更新 2024.01.08, 初稿 2024.01.03
 

出石の機械時計初号機・二号機の分析は、出石ではなくひょうごメタルベルトに位置する姫路に搬入(2023.09.15)して実施することにいたしました。これは次の3つの理由によるものです。
(1)兵庫県における金属研究の中心となる兵庫県立大学・姫路工学キャンパスがある。
(2)姫路は交通結節点であり、様々な分野の専門家が実機を見ることが出来る。
(3)二号機の設計地である明石に二号機を搬入する中継地として最適。
 

姫路は、古くから西国街道(京都から下関、あるいは九州の太宰府までの経路)と但馬、因幡、出雲の街道が結節する交通の要衝として栄えてきました。 現在でも京阪神、中国、山陰を結ぶ交通の要衝であり、新幹線・JR神戸線・JR山陽本線・JR播但線・JR姫新線・山陽鉄道、山陽自動車道・中国自動車道・播但連絡道路、国道2号線、姫路飾磨港など各種交通機関が集中しています。ひょうごメタルベルト地域の姫路の兵庫県立大学(工・環境人間・産学連携)、明石の明石市立天文科学館、神戸の兵庫県立工業技術センター・公益財団法人 新産業創造研究機構(NIRO)、そして但馬地域の兵庫県立大学(地域資源)、但馬技術大学校、芸術文化観光専門職大学、これらの機関からみたとき、その中間に位置する姫路に機械時計の実機があることは、兵庫県の各地域・機関の専門家、調査委員会のメンバーが集まるという点においても重要になります。さらに、姫路は兵庫県内だけではなく日本各地の専門家が集まりやすい場所であり、出石から機械時計を姫路に搬入することで、各地の専門家が機械時計の実物を観察・調査することが可能になりました。
 

科学分析は、WEBサイトの「データアーカイブ」掲載されている機械時計初号機の写真・3Dデータ・分析結果・資料といった「サイバー空間」上のデータを利用した分析と、「現実空間」としての交通結節点である姫路に搬入されている機械時計の実機を兵庫県内さらには全国各地の専門家に実際に観察・調査していただく「物理空間」での調査の両面から実施します。最近の言葉で言いますと「デジタルツイン」という概念にも近いと考えられます。
 

資料の収集という点において、これまで資料の探索・収集が実施されてこなかったひょうごメタルベルト地域の姫路・明石・神戸において実機をできるだけ多くの方に見学していただくという意味でも、姫路に機械時計を運び込むことは極めて重要と考えております。
 

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