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2023.12.20

機械時計の謎を解明する4つの手法

執筆:永瀬(県大)
日時:更新 2024.01.08, 初稿 2023.12.20
 

機械時計の製造地・製造年代を解明は、4つの大きな手法で試みます。これを達成するために、兵庫県の各地(出石・豊岡・ひょうごメタルベルト(姫路・明石・神戸など))の様々な地域のメンバーからなる調査委員会を立ち上げるとともに、「WEBサイトを中心としてみんなで秘密を解明する」という新たな試みで機械時計の謎に挑みます。
(1)時計の機構
(2)歯車部品の機械加工の精度、加工方法
(3)金属の組織観察・成分分析
(4)これまで発見されていない資料の収集
 

当初は(3)を中心とした金属の組織観察・成分分析による機械時計の素性解明・製造地の特定を予定しておりました。金属の中でも「和鉄」とも呼ばれるたたら製鉄に関連した鉄材料の分析を想定しておりました。さらに、「network tele-microscopy」と呼ばれる最新の電子顕微鏡観察法を用いることで、兵庫県内さらには全国の専門家による遠隔観察法を用いることを予定しておりました。(3)の手法は極めて強力な手法でありますが、機械時計の一部分の切り出しを含む「破壊分析」であるため、予備調査の結果、科学分析の観点からは、まずは「非破壊分析」である(1)および(2)の手法を中心に分析・調査を行う予定にしております。(1)の時計の機構について、初号機は欠損が激しい状態でありますが、現時点で残されている機構が極めて特徴的であり、この特徴的な構造の観点から調査を行います。(2)の歯車部品の機械加工の精度や加工方法について、初号機の歯車は我々が普段見ている歯車とは大きく異なる形状をしている事が特徴であり、時計全体の構造だけではなく、時計の部品の詳細な解析を通じて、機械時計の素性を明らかにする予定です。(3)の手法については、いつでもこの手法を用いた分析が実施できるように準備を進めています。
 

さらに科学的な分析に加え、(4)の手法を用いることも大きな特徴です。2号機の設計・製造は「明石」であることが明らかになっております。2号機の設計・製造に際して初号機の情報が活用されたと考えることは妥当であり、この点から出石・豊岡だけでなく、明石にも初号機の情報が残されている可能性が高いと考えられます。明石だけではなく、神戸港が存在する「神戸」には輸出・輸入などを含めた帳簿の記録が残されている可能性があり、兵庫県における金属産業において重要な位置づけにある「姫路」にも多くの情報が眠っている可能性があります。出石・豊岡からだけではなく、ひょうごメタルベルトに位置する「姫路」・「明石」・「神戸」から、初号機・二号機に関する情報が発見される可能性は高いと考えております。
 

それぞれの調査について、縦メニューの「データアーカイブ」には専門的な内容になりますが科学分析・調査結果が掲載されてます。横メニューの「機械時計の科学分析」には中学生・高校生でも理解できるレベルで科学分析・調査結果の内容が掲載されています。横メニューの「出石と辰鼓楼」・「ひょうごメタルベルト」には、各地域に密着した情報が掲載されています。
 

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