趣旨・ロードマップ
最終更新:2023.01.08プロジェクトの始まり
2023年05月26日(金)に豊岡市より、兵庫県立大学産学連携・研究推進機構に「文化財の歴史に関する相談」として、豊岡市内の出石町「豊岡市出石伝統的建造物群保存地区」内にある時計台である辰鼓楼(しんころう)の機械時計について、地元の方から「金属材料の分析などから、国内製か海外製かの特定ができないかと相談」があったとの連絡がありました。金属の分析の話ということで、兵庫県立大学産学連携・研究推進機構から、兵庫県立大学大学院工学研究科の永瀬丈嗣教授に相談があったことがこのプロジェクトの始まりです。
プロジェクトのゴール
問い合わせの時点での最終的なゴールは、「初号機の製造地の解明」でした。
しかし、第1回の現地調査の後、出石から姫路に機械時計の初号機・二号機を移動し、調査委員会の先生方に機械時計を簡易的に調査していただいた結果、機械時計が非常に価値があると考えられることがわかりました。すぐに部品の一部を切り出して電子顕微鏡観察をするよりも、資料収集などを含め様々な角度から検証したほうが良いとの話になりました。
予備調査の結果、このプロジェクトのゴールは
- (1) 機械時計の調査をWEB・情報発信を利用したフルオープン・ネットワーク分析
- (2) 様々な角度から検証することで、製造地の解明だけにとどまらずその価値を明らかにする
- (3) 価値を明らかにするだけではなく、機械時計の価値を後世に伝えていくためのアウトリーチ活動
- (4) 出石モデルともいうべき新たな文化財分析調査手法の構築
と変わりました。
初号機(2023.09.15撮影)
プロジェクトの意義
このプロジェクトは、単に古い機械時計の金属分析だけにはとどまりません。 機械時計自身は非常に価値あるものであり、この調査を通じて発見されるであろう多くの資料、機械・金属の観点から得られた様々な知見に関する学術報告・学術論文、そしてこのWEBサイトを通じて公開される情報は後世に残る財産となります。仮に現時点の調査で製造地が判明しなくても、このプロジェクトにより得られた知見を後世に残していくことで、将来的に製造地が解明される一助となることができます。
フルオープン・ネットワーク分析
という新たな分析法
二号機(2023.09.15撮影)
また、兵庫県立大学の学生にも科学分析・調査に積極的に参加してもらい、アウトリーチ活動を通じて次世代を担う人たちに機械時計の価値を知ってもらうことも重要です。出石からひょうごメタルベルト地域に位置する姫路・明石に機械時計を運ぶ、WEB・情報発信を利用したフルオープン・ネットワーク分析を行うという、物理的・デジタルネットワークで兵庫県全体で貴重な文化財の素性を解明していくという、兵庫県が世界初となる新たな分析法が構築されます。文章で書くと長くなりますが、このWEBサイトを見ていただくことで、兵庫県の様々な地域の調査委員と学生で分析活動・アウトリーチ活動が行われているかをリアルタイムで知っていただくことができます。
単に外から活動をながめるのではなく、資料の発見などご協力いただければ、このプロジェクト推進の大きな助けになります。
皆様方の温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。
日時:2023.12.23
ロードマップ
- 2023
- ・ 初号機移動(出石→姫路)
- ・ 二号機移動(出石→姫路)
- ・ 調査委員会の立ち上げ
- ・ WEB立ち上げ
- 2024
- ・ キックオフミーティング
- ・ 二号機移動(姫路→明石)
- ・ 初号機(姫路)、二号機(明石) 展示
- ・ 資料探索システム立ち上げ
- 2025
- ・学術報告
- ・ アウトリーチ活動の本格化
- 2026
- ・ 機械遺産の登録検討開始
- 2027
- ・ 第1次計画のまとめ
- ・ 新たな分析モデル
- 「出石モデル」の構築