page top

TOP記事
2024.01.03

姫路:兵庫県における金属研究の中心地として

執筆:永瀬(県大)
日時:更新 2024.01.08, 初稿 2024.01.03
 

姫路といえば「姫路城」が有名ですが、その特徴は「姫路城」だけにとどまりません。姫路は兵庫県にとどまらず日本の歴史の中でも「金属」に関する先進地域であり、現在の兵庫県における金属研究の中心地であると言えます。具体的な事例としては、下記などがあげられます。出石の機械時計の素性を解明するために、2023.09.15、兵庫県における金属研究の中心地である姫路に機械時計が搬入されました。
 

(1)金属製品の作製技術の原点である鋳造について、「姫路市名古山」にて銅鐸の石型の最初の実例が発見されています。[1]

(2)兵庫県における鋳物業の発祥は「姫路市野里」であるとされています。野里鋳物師、播磨鍋などの言葉があります。[2]

(3)播磨の北西にあたる現在の「佐用町・宍粟市」の周辺はたたら製鉄が広く行われた地域であり、姫路に陸路で銑鉄(鋳物鉄)が搬入されてきた可能性があります。この点はその詳細はまだ解明されていません。千種鉄などの言葉があります。[3]

(4)播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道。「生野鉱山、明延鉱山、中瀬鉱山」で採掘された鉱石は、日本初の高速産業道路と言われる銀の馬車道をとおり、「飾磨港(現姫路港)」へと運ばれました。[4]

(5)太平洋戦争後の高度経済成長期において「阪神・播州工業地域」において大量の鋳物砂の需要が生じた時期に、「淡路島」の鋳物砂資源の大規模調査が、姫路工業大学・兵庫県立工業技術センター・民間企業からなる調査委員会を中心に実施されました。[5]

(6)兵庫県における金属新素材研究の中核施設として「兵庫県立大学・姫路工学キャンパス」に「金属新素材研究センター」が2019年4月に設置されました。[6]

 

[1] 姫路市HP:名古山弥生遺跡出土遺物
https://www.city.himeji.lg.jp/kanko/0000002036.html
[2] 永瀬丈嗣, 柏井茂雄, 兼吉高宏, 淺野和典, 北村一浩, 日本金属学会会報・まてりあ, 61, 340-345 (2022).
https://doi.org/10.2320/materia.61.340
[3] 大村拓生, 赤松氏と山城研究班 千種鉄の流通と刀剣, 兵庫県立歴史博物館ひょうご歴史研究室 編, 4, 41-57 (2019).
https://rekihaku.pref.hyogo.lg.jp/publication/reaserch/performance/
[4] 日本遺産ポータルサイト:播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story045/
[5] 藪内清三, 前川春巳, 姫路工業大学研究報告, 14, 16-30 (1961).
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000020132-00
[6] 兵庫県HP:金属新素材研究センターについて
https://web.pref.hyogo.lg.jp/sr09/metaruberuto.html

この記事をシェア: