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2023.12.07

初号機の調査報告(2023.12.07), 造幣局博物館の機械時計との比較検討

執筆:中嶋(NIRO)
関係者:中嶋(NIRO)
日時:更新 2023.01.08, 初稿 2023.12.07
場所:造幣局博物館

概要
出石辰鼓楼の機械時計1号機が国産か、どうかを調査で、1号機の5年前(1876年6月)に国産で作られたことが分かっており、造幣博物館に保存・展示されている機械時計を調査した。明治維新後、日本に伝わった振子が付き、歯形も出石1号機と似ていた。構造は和時計に似る1号機よりも、当時の欧州製に似ている。

内容
・出石辰鼓楼の機械時計1号機が国産か、どうかを調査している。出石1号機が稼働したのは、地元の新聞記事より1881年9月8日と分かっている。一方、造幣局(当時の造幣寮)の大時計は1876年6月に工作方技師大野規周が製作したことが分かっている。出石1号機が国産だとすると、造幣局の大時計が現存するもので、最も近い時期に作られたことになる。現物が造幣博物館に展示されているため、現物を確認し、構造や歯車形状を出石1号機と比較することにした。
・時計は博物館1階の入り口近くにあり、正面と側面しか見学できない構造だった。来意を受付の方に告げると、博物館長が出てこられ、裏側、反対側に入っての写真撮影を許可していただいた。最も大きな気付きは、これまで公開されている写真では気付かなかったが、振子が使われていたことだった。
・動力は錘の巻き上げ式で滑車が2個・・・出石1号機と同じ
・振子が使われている・・・出石1号機と同じ
・歯車の歯形はインボリュートではなく、和時計に近い・・・出石1号機と同じ
・軸受け部分は1枚の板に穴あけ・・・出石1号機とは異なり、出石1号機は古い和時計の構造
・設置場所は屋内・・・出石1号機とは異なる
・製作者の大野規周は1880年に大阪で時計製作を始めるが、永続せず、1886年に死亡・・・構造が出石1号機の方が古いので、大野規周が製作者の可能性はない

・以下に写真を紹介する。


正面からだと分かりにくいが、中央部に振子がある
動力となる錘を巻き上げる滑車が2つあるのも出石1号機と同じ


歯車は出石1号機に似ていてインボリュート歯形ではない


軸受けが前後の板に穴を明けている:出石1号機とは異なる構造


振子の回転中心(左)と下部(右)


振子の回転中心(左)と下部(右)

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