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2023.12.14

初号機の調査報告(2023.12.14), 笹川様(新潟ハイカラ文庫)との相談内容

執筆:中嶋(NIRO)
関係者:中嶋(NIRO)、笹川(新潟ハイカラ文庫)
日時:更新 2023.01.08, 初稿 2023.12.14
場所:朱鷺メッセ

・TIMEKEEPER 古時計どっとコムというサイトがあり、古い時計塔についても紹介されている。サイト管理者にメールしたところ、より詳しい笹川さんという方を紹介していただけ、笹川さんにメールでコメントをお願いした。
・その結果、以下のコメントをいただいた。「京屋組の水野伊和造が、ファーブルブランドが輸入した、スイス国境に近いフランスで作られたモービエクロックの機械を全国に売ったので、日本全国の塔時計に改造流用されたことは間違いない。しかし、出石1号機は、他のモービエクロックに比べ、サイズが大きいので、輸入品を真似して自製した可能性がある。」
・笹川氏が新潟市在住と分かり、14日の学会の昼休みにお会いした。
・モービエクロックは、出石1号機と同様に、2つの分銅を巻き付ける滑車がある。モービエクロックは2つの滑車の下に錘を吊り下げたロープを下に出すための長溝がある。1つの滑車に長溝1つである。出石1号機は片方の滑車に1つ、もう一方の滑車には2つあり、2つの長溝の存在理由が分からなかった。笹川さんによると、こういう例は他の時計、和時計もあり、その場合、錘が動滑車の形で吊り上げられている。同じ錘で2倍の回転力を与えられることになる。
・見せていただいたモービエクロックで、ラフな測定であるが、時針軸と分針軸をつなぐ歯車列を測定した。分針軸側の小歯車φ25、かみ合う中間軸の大歯車φ62、中間軸の小歯車φ15、かみあう時針軸の大歯車φ75だった。軸間距離を計算すると、前者が43.5mm、後者が45mmなので、1.5mmの差がある。これはラフな測定による誤差と考えられる。
・時針と分針の間の減速比は1/12である必要があるが、これを計算すると、25/62×15/75=1/12.4となる。これを1/12になり、かつ軸間距離が等しくなるように数字を修正する。1つの解は26.5/63.5×15/75=1/11.98となる。
・分針は360度/時で回転する。中間軸は360×26.5/63.5=150.2度/時で回転し、さらに時針は150.2×15/75=30.04度/時となり、分針と時針が連動する。このような関係が出石1号機でもあるはずである。

・次に時間動作の方で、分銅を巻く滑車にはφ70の大歯車が付き、中間軸にφ12の小歯車が付く。ということは、分銅を巻く滑車の角速度は、150.2度/時×12/70=25.748度/時=1.72回転/日となる。
・分銅は10巻程度になっており、10回転÷1.72回転/日=5.8日となる。いっぱいまで錘を巻き上げ、錘が下に落ち、回転しなくなるまでが5.8日となる。
・中間軸は、さらに大歯車φ60から小歯車φ6に増速される。この増速は2段なので、150.2度/時×100=250.3度/分=4.17度/秒となる。ここに振子の動きが連動し、振子の周期が1秒とすると、1秒に4.17度回転することになる。数字が半端なので、90回で1回転とすると、振子の周期は0.96秒となる。

 

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