3Dデータ・復元モデル・初号機・ver.1(2025.01.10)
記載:永瀬(兵庫県立大学)
関係者:中嶋(NIRO)、早稲田(神戸高専)
場所:写真取得・姫路工学キャンパス、データ構築・NIRO
3D復元モデルデータの作成は NIROの中嶋先生が、
3Dプリンターによるパーツ作製と復元機の作製は 神戸高専の 早稲田博士および専攻科の学生さんが、
それぞれ中心となって行われています。
初号機の復元作業は、
主に下記の理由のため極めて難しい状況です。
● 初号機はパーツの欠損が激しい。
● 初号機の写真や図面・設計図などの資料が無い。
● 初号機が、どこで、誰が製造したのか、確定的な情報も無い。
2025.01.10 時点で、
下記の方針で復元モデルの構築を行っています。
● 欠損されたパーツは想像しながら追加する。
● モービエクロックを参考にパーツを追加する。
● 3Dプリンターでパーツを造形し動くかどうかの実証実験を行う
● 現段階での出石初号機の推定(2025.01.10)
● 出石初号機は、分銅で駆動される滑車から分針までの駆動系が残存している。
時針の可能性もあるが、分銅の巻き上げ回数(何日に1回巻き上げる)から推定すると、
分針である可能性が高い。
● 一方、滑車の回転は、振子と連動した脱進機で制御されなければならないが、
脱進機が失われており、推測するしかない。
● 分銅で駆動される滑車と脱進機の関係は、
旧西田川郡役所塔時計、Morbier Clockともに、滑車の真上に脱進機がある。
振子は中央にあるので、リンク機構で、振子の運動が脱進機に伝えられる。
● 出石初号機のフレームに残る穴を見ると、
滑車の真上に脱進機や振子との連動軸を配置できる穴が存在しない。
また、一部残存する歯車も、真上ではなく、斜め上に伝達されている。
● そこで、現段階の最も確からしい推定としては、
脱進機は滑車の真上ではなく、分針軸の真上にあったと推定する。
これによって、振子の回転運動をリンク機構で伝える必要がなくなる。
● 一方、分針軸の上方にはフォーク状の部品が残るため、
旧西田川機やMorbier Clockのように、分針軸と同じ側に振子は設けられない。
そこで、振子は分針軸とは反対側にあったと推定する。
● 以上の考察から出石初号機の現段階での推定は以下となる。
今後は、時打ち部分を検討していきたい。