page top

2023.12.17

初号機の調査報告(2023.12.27), 構造モデルの構築

執筆:中嶋(NIRO)
関係者:中嶋(NIRO)、迫田(県大学生)、永瀬(県大)
場所:兵庫県立大学・姫路工学キャンパス
日時:2023.12.27
メモ:歯車の数、計算などは現在確認中です(2024.01.07)。

 

・セイコーミュージアムでの同時代の実機の確認、新潟の笹川氏からのアドバイス聴取と当時の輸入品(モービエクロック)確認と、知識が深まってきたので、永瀬研究室を再訪し、実機を確認し、3Dモデルを作成した。
・以下に現状をモデル化したものを示す。歯車はピッチ円を円板として表し、歯の表現は行っていない。

・正面から見て左側が時間を表す部分、右側は時打ちの部分と思われる。右側はほとんど失われているので、左側のみ、注視した。2つの大きな滑車があるのは、分銅を下に垂らすロープを巻く滑車であり、こういう時計を分銅駆動と呼ぶ。一般的には分銅は、巻き上げられた状態から4日程度で下に下がる。出石1号機では、この滑車の回転を1段増速し、その後、同径の歯車3個で時計の針の軸に伝達する。ということは、伝達された針の軸の回転も遅いはずで、時針軸と考えられる。
・滑車軸の歯車はφ225、時針軸と同じ回転速度になる中間軸の歯車はφ37.3で225/37.3倍に中間軸は増速され、時針軸は720°/日=30°/時で回転することになる。ということは、滑車軸は4.97°/時=119.36°/日=0.33回転/日と逆算される。
・滑車の径はφ152であるので、仮に分銅を吊り下げるロープの径をφ20とすると、ロープ中心の直径はφ172、滑車の長さは151mmなので、ロープは7巻となる。21日で7巻が開放され、分銅は3.8m下がる計算になる。分銅時計は標準的には4日、長いので8日に1回巻き上げると聞いているので、ロープ径がもう少し太かったかもしれない。滑車の下にある溝幅は24mmである。
・次に分針を予測する。中間軸には、使われていない大歯車がある。その大歯車の近くに使われていない穴がある。この穴に軸を通し、小歯車を回転させたと考える。この大歯車はφ190、小歯車はφ36である。すると、小歯車軸は時針軸の190/36倍で回転する。分針軸は360°/時、時針軸は30°/時なので、12倍の増速が必要である。小歯車軸を2.27倍の増速ができれば、分針軸を回転させられる。小歯車軸と分針軸の軸間距離は103.564mmである。この距離で2.27倍になる歯車の直径を計算する。小歯車軸に付く大歯車の径をd1、分針軸に付く小歯車の径をd2とすると、
d1/2+d2/2=103.564  d1/d2=2.27  連立方程式を解くと、d2=63.34、d1=143.78となる。
・以上の推論から分針軸までを追加したモデルを以下に示す。

 

この記事をシェア: